関係者錯誤と重視聴錯誤(エンタメコンテンツ)マンガ家志望者に向けて

 

以前から一度、ある概念について、言語化しておかなければならないなぁ
と思っていた事が2つあったのですが、
本日ふと頭の中で整理がついたのでコラムとして記しておこうと思います。

それは、「関係者錯誤」と「重視聴錯誤」です。

このような概念が、明確に一般名称として言語化されていない為に、
さまざまな所で弊害とも呼べる場面に遭遇することがありました。

 

まずは「関係者錯誤」から説明すると、
字面からも何となく雰囲気が伝わるかと思いますが、
エンタメ系コンテンツを鑑賞する際に、
友達や知人、もしくは趣味や嗜好が似た属性を持つ
クラスターからの作品の評価が、
低くなってしまう現象のことを指します。

知人や友人は、その本人を知っている為に、
客観的な視点でコンテンツを消費できなくなってしまい、
誤った評価をしてしまう傾向が強くなります。

また、作者と同じ専門分野に精通した人も、
作品の評価を厳しくしてしまう傾向があります。

 

次に「重視聴錯誤」についてですが、
これは非常に単純なお話ですが、
2回目、3回目の視聴の方が、1回目に観たときよりも、
つまらなく感じてしまう現象のことを指します。

これは当たり前のことなので、わざわざ言われなくても分かっている!と
思われるかも知れませんが、この現象についての固有の名詞が存在しない為に、
このような錯誤が今も大手を振って世間を跋扈しています。

 

これは以前、僕の身に実際に起きた話なのですが、
「重視聴錯誤」が原因となって、制作した漫画が危うくマンガ作品が
危うく没になりそうな事があったがありました。

編集者の方が、最初は評価してくれて、担当になったものの、
制作過程を通して、そのマンガを複数回読んでいるうちに、
だんだんとつまらない作品であると錯誤してしまったという出来事です。

いろいろな幸運が重なり、結果として大きく作品が広がって
100万人を超える方に観て頂けるマンガ作品となりましたが、
あのまま行けば、世に出ていなかった可能性も高い状況でした。

 

たぶん「関係者錯誤」と「重視聴錯誤(ちょうしちょうさくご)」は、
源氏物語等々の創作コンテンツが生まれてから今日に至るまで、
1000年以上脈々と続いてきた心理現象だと思われます。

 

せっかくの良い作品(コンテンツ)が世の中に埋もれてしまうのは
大変勿体ないことですし、日本のコンテンツ産業を世界に広げていく為にも、
この心理的傾向を、日本の国内だけでも固有の名詞として定義し、
せめて業界の中だけでも広げていくことができればいいよなぁと思っております。

意味的には「重鑑賞錯誤」の方がシックリきますが、語感的に「重視聴錯誤」の方が良いかなと…。

 

ということで、マンガ家志望者の方々は、編集者にダメだしされたら
こう言ってやりましょう!

漫画家志望者
「それって重視聴錯誤じゃないですか?
初見を前提に作品を評価していますか?」

編集者
「うむむぅぅ・・・、すみません。
私の重視聴錯誤かも知れません…。
本誌に掲載して読者反応を見てみましょう」

たぶんこんな感じになるハズです……

オーツボ 拝

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