みなもと太郎著「マンガの歴史」が業界人必読である理由

 

 

若い頃からマンガの歴史について興味があって、
いろいろと書籍を読んだり、インタビューを読んだりしておりました。

 

以前書いたコラムの中では、
https://mangaloid.jp/?p=1967
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・絵物語から続くマンガへの系譜
・戦前の漫画文化(のらくろ、冒険ダン吉)
・手塚治虫の開拓した漫画文化=悲劇性
・さいとう・たかをの劇画
・学生運動とカムイ伝
・ガロとCOMによる実験漫画
・童夢・AKIRAとアメリカンニューシネマ
・少女漫画
・ドラゴンボール・キャプテン翼(世界への浸透)
・タッチ、うる星やつら(少女漫画的、少年漫画)
・同人漫画
・ピンポン、TOKYO TRIBE
・ワンピースと20世紀少年と攻殻機動隊
・アメリカと日本のマンガ文化比較(著作権の管理)
・アンケートによるフィードバックの弊害と優位性
・マンガ文化の衰退(物語世界の縮小再生産)
・佐藤秀峰が実現させたハイブリッド漫画家の革新性
・comicoスタイルとスマホ漫画
・マンガ文化の新たな展望
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とかを、いろいろと掘り下げたら、面白いかなぁ・・・
なんて書いたこともあるくらいマンガの歴史には一家言を持っております。

 

みなもと太郎「マンガの歴史 1」は、
マンガ歴史オタクの私からみても、抜群でした。
非常に読みやすい語り口で、あまりに面白いので
夜通しかけて一気に読んでしまいました。

 

出版業界関係者やマンガ家は、必読の書籍であると思います。

なぜかと言いますと・・・・

今の2010年代~2020年代が、
丁度1950年代~1960年代のマンガ黎明期に
相似しているように感じるからです。

 

今、マンガの仕組みが劇的に変わろうとしています。
今後どのような方向に進むことが正しい道なのかを探る上で、
歴史に学ぶことは非常に重要です。

 

 

「マンガの歴史」の中では、
戦後の貸本漫画、月刊誌、週刊漫画誌の変遷を
かなり詳しく解説してくれています。

月刊誌が生まれ、平行して貸本が盛り上がり、
その後週刊マンガ雑誌が、どのように生まれていったのか・・・。

 

少年マガジンと少年サンデーの創刊日が同じだったとは知りませんでした。
さらには、当初は漫画専門誌ではなかったことも驚愕の事実です。

創刊当初サンデーの方が、マガジンより売れていて、
そこからどのような経緯があって、マガジンが追い抜いたのか・・・。

マンガ家としての見識を遺憾なく発揮し、紐解いてくれます。

 

そうか・・・。
だからサンデーは、マガジンに負けたのか・・・・・

理由が、マンガ表現の根幹に関わる部分だったので、
非常に納得いたしました。

結局は、そこになりますよね・・・。

 

他にも目から鱗の情報がギッシリでした。
「トキワ荘」が重要であった理由とか、「劇画」誕生の背景とか…。
今の時代に置き換えて考えることで、新たな視点を数多く得ることができます。

 

紙から電子書籍へ、週刊誌からアプリやKindleへ移り変わるこの時代に、
絶妙なタイミングで非常によい本に出会えたなぁ~と思う一冊でした。
続きもあるようなので楽しみです。

 

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Kindle版と書籍版あり↓

 

 

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