3つ目は、チームによるマンガ制作が、より行いやすくなるという点である。
1950年代に、ゴルゴ13のさいとう・たかを先生が、分業体制によるマンガ制作システムを提唱した。
当初は、マンガ家本人が絵を描かない事に、他のマンガ家や評論家、読者に至るまでさまざま反発を受ける事になったが、
マンガが巨大産業化するにはこのようなシステム(思想)は不可欠であった。
分業システムの普及が、その後のマンガの週刊連載化を容易にするなど、マンガ文化に対する貢献は計り知れないものがある。
今日に至るまで「ゴルゴ13」などの偉大な作品を作り続けられている事が、分業による制作システムの優位性を証明している。
マンガロイドは、モデリングデータさえあれば誰がアレンジしても、一定のクオリティの作画が可能になる為、
より分業に向いている制作方法であると言える。ボーカロイドが共作によって盛り上がったように、
原作と作画を分担しSNS上で作品が出来上がる仕組みも、マンガロイドによって初めて実現すると思う。
歴史にもしはない…と言われているが、手塚治虫先生が、もし積極的に分業システムを導入していたら、
どうなっていたか?と考えてしまう。さいとう・たかを先生が現役でマンガ連載を続けている事を考えると、非常に勿体無い事である。
映画の世界で言えば、クリント・イーストウッドは多くの協力者を得ることで、未だに最高傑作を作り続けている。
マンガロイドという制作システムは、少数の天才達を支える事で、面白いマンガを量産する仕組みも実現させる事ができると思う。
4つ目は、完成後の作り直しが、非常に楽な点である。
これがマンガロイド最大の利点と言っても過言ではない。
モデルデータが保存してあれば、カメラのアングルや人物の大きさ、表情やライティング等、
簡単に自由に作り直す事ができる。
調度、小説界におけるワープロ的な役割を、マンガロイドで担うことができるのだ。
少し表情を変えたり、角度を変えたり、ライティングを変える事で、劇的に表現力がUPする場合がある。
何気ない一コマを少し変えるだけで、一笑いプラスする事も可能だ。
作り直しの容易さは、表現の質を高めるのに、重要な役割を果たす事ができる。